はじめに
こんにちは! 工学部3年のN.K.と申します!
受験の天王山と言われる夏休みも終わり、秋学期に突入して早二週間ほどが経ちましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
さて今回は、東京大学ならではの「科類」の仕組みと、志望学部を決める「進学選択(進振り)」制度について詳しくお話ししていこうと思います!
制度のリアルな雰囲気や実際の流れを知ることで、これからのモチベーション維持に少しでも役立ててもらえたら嬉しいです。
東大の科類とはなんだろう?
ご存知の通り、東京大学に入学した学生は全員、まず「前期教養学部」という場所に所属し、駒場キャンパスで約2年のキャンパスライフをスタートさせます。
この教養学部の中に用意されているのが、文科1〜3類、理科1〜3類という合計6つの「科類」です。
2027年度入試の募集要項*1 によると、それぞれの定員は以下のようになっています。
- 文科1類:387名
- 文科2類:341名
- 文科3類:453名
- 理科1類:1071名
- 理科2類:514名
- 理科3類:92名
秋学期が始まったこの時期、受験校や出願先を決めるとき、「結局どの科類を選べばいいんだろう?」と悩む人は多いはず。
そこで今回は、入学後の「進学選択(いわゆる進振り)」を中心に、科類ごとの違いや特徴を掘り下げていきます。
授業から見る科類のリアル
まずは「必修科目」という切り口から、各科類を見ていきましょう。
ここで欠かせないのが「単位」の考え方です。
周知の通り大学では、高校までと違い授業を受けるだけでは卒業できません。授業を受けて合格をもらうと得られるのが単位で、多くの大学で卒業条件には特定単位の取得があります。
しかし、東大では卒業だけでなく、進学選択においても「どの科目で何単位取ったか」が厳しくチェックされます。ざっくり言えば、「単位数が多い科目ほど、その科類で重視されている学問」と解釈してもらって構いません。
また、東大の授業には「総合科目」という分類もあります。
全員一律で受ける科目とは別に、決められたルールの中で好きな講義を選んで受けられる仕組みです。
L, A, B, C, D, E, Fの7つのグループに分かれていて、Lが語学、A〜Cが文系科目(人文社会科学)、D〜Fが理系科目(自然科学)に対応しています。
文系(文1〜文3)の必修をくらべてみる
文科の3つの類でハッキリと差が出るのは、「選択必修(社会科学)」と「総合科目」の履修スタイルです。それ以外の必修講義には、科類による大きな違いはありません。
社会科学の講義は「法・政治・社会・経済・数学」の5分野から選ぶ形式ですが、科類ごとに下表のようなルールが設けられています。
| 文科1類 | 文科2類 | 文科3類 | |
| 必要な単位数 | 8単位 | 8単位 | 4単位 |
| 履修上のルール | 法学か政治学で4単位 | 数学か経済学で4単位 | 特に指定なし |
総合科目のルールも比較してみましょう。
| 文科1類 | 文科2類 | 文科3類 | |
| L系列(語学) | 9単位 | 9単位 | L系列9単位を含む17単位 |
| A〜C系列(文系) | 6単位 | 6単位 | |
| D〜F系列(理系) | 6単位 | 6単位 | 8単位 |
これらの条件から何が見えてくるでしょうか?
まず注目したいのが、文科3類が他の科類よりも授業選択の自由度が多いことです。
総合科目の枠が大きいということは、それだけ「自分の好みで選べる授業が多い」ということ。語学が好きならL系列をどんどん詰め込むような履修も可能です。
一方で社会科学の条件を見ると、文科1類は「法律・政治」、文科2類は「経済・数学」に重点が置かれていることが読み取れます。
これは後述するように、文科1類は法学部、文科2類は経済学部に進む学生が多いためです。1年生の必修ルールからして、すでに将来の学部を見据えたカリキュラムになっているわけですね。
他にも、文系共通の履修科目として、第二外国語や人文科学、情報なども履修していくことになります。
理系(理1〜理3)の必修をくらべてみる
理系は3つの科類に分かれて入学しますが、進学選択までのカリキュラムにおいて理科2類と理科3類は全く同じ扱いになります。
したがって、ここでは「理科1類」と「理科2・3類」という形で比較していきます。
両者の違いとして目立つのは、主に以下の3点です。
| 理科1類 | 理科2, 3類 | |
| 生命科学 | 1単位 | 4単位 |
| 物質科学 | 熱力学 | 化学熱力学 |
| 1年春(Sセメ)の数学演習 | 必修 | 任意 |
理科1類は工学部・理学部といった物理・数学系へ、理科2類・理科3類は農学部・医学部といった化学・生物系への進学者が多いため、1年次の必修講義もそれぞれの専門分野に寄り添った構成になっています。
このほか理系共通の科目として、第二外国語、数理科学、力学、電磁気学、情報、実験(実習)などを履修し、文系同様に総合科目も修得していきます。
ちなみに、「理系を選んだけれど高校で物理を履修していない…」という人でも大丈夫。未履修の学生に配慮された講義が準備されているので、安心して飛び込んできてください。
東大独自の「進学選択(進振り)」の仕組み
制度としての進学選択
東大に入って約1年半、2年生の夏休みを迎えると「進学選択」がスタートします。ここで、2年後半からの後期課程でどの学科・コースに進むかが最終決定します。
この制度では、各学部学科が提示する枠に対して学生が希望を出し、基本的には「1年半の大学での成績順」で内定者が決まっていきます。 募集枠には大きく分けて「指定科類枠」と「全科類枠」の2パターンが存在します。
指定科類枠とは、最初の選考段階で行われる「特定の科類専用の優先枠」です。
例えば2025年度の理学部物理学科では、理科1類の学生向けに44名分もの枠が割り当てられていました。
各科類と主な進学先(指定科類枠)の組み合わせは以下の通りです。*2
- 法学部 → 文科1類
- 経済学部 → 文科2類
- 文学部 → 文科3類
- 教育学部 → 文科3類
- 後期教養学部 → (コースによる)
- 工学部 → 理科1類
- 理学部 → 理科1, 2類
- 薬学部 → 理科1, 2類
- 農学部 → 理科2類
- 医学部 → 理科3類
この枠は定員が多く設定されているため、対応する科類からはスムーズに進学しやすくなっています。「理科1類に入ると工学部に行きやすい」という言葉の裏には、こうした仕組みがあるのです。
対して全科類枠は、出身科類を問わず全東大生にチャンスがあるオープンな枠です。
「東大なら入学後に文転・理転ができる」と言われるのは、この全科類枠が存在するおかげです。*3
実際にこの全科類枠を使って理科2類から医学部に進学した先輩や、文科類から工学部に進学した先輩もいらっしゃいます。
ただし、こちらの枠は指定科類枠に比べて枠数がかなり絞られていることは知っておくべきでしょう。
高校卒業時点で将来の学部までガチガチに決めてしまうのではなく、入学後の1年半で多様な講義に触れながらじっくり進路を探せるのが東大の大きな魅力の一つです。
やりたいことがまだ見つかっていない人や、興味が多岐にわたっていて将来の気持ちが変わるかもしれないという人こそ、この1年半の猶予期間をフル活用してみてください。
1年生のうちから気になる学科のガイダンスに顔を出してみるのも、自分の可能性を広げる良いきっかけになりますよ。
私の進路選択に関して
制度についてお話ししたので、具体例として私の進学選択を少し紹介します。
私は高校時代、物理や数学に興味を持ったものの、その興味が工学系なのか、あるいは理学系なのか定めることができず、結局どちらにも進める可能性の高い理科1類を受験しました。
教養学部では相対論や宇宙物理など、興味のある授業を積極的に受講し、自分の興味を掘り下げていきました。加えて1年の後半から行われた学部学科ガイダンスを拝聴し、進学先の学部の雰囲気が自分に合っているのか見極めていきました。
進学選択直前まで航空宇学科と物理工学科の二択を迷った末、たまたま本屋で出会った面白い本の後押しもあり、物理工学科を最終的に選択しました。
私のように受験直前になっても自分の興味分野がわからない、という方々も多いでしょう。ですが私の体験談のように、東大に進学してからも自分の興味を掘り下げられる機会や選択肢はたくさんあるので、心配する必要はありません。

最後に
科類選択は東京大学を受験するに当たって、非常に重要な節目です。ですが、進学選択は受験を控えるあなた方には遠くのことに思えるかもしれません。
しかし進学選択は自分の研究分野に深く直結し、大学受験を超えた先に続く将来に深く影響する重要なイベントです。
今回の話を頭の片隅にも留めておいて、受験勉強の間、自身が進む道を見失いそうになった時は、進学選択後にその研究分野で活躍するご自身を想像することが励みになるでしょう。
最後まで読んでいただきありがとうございました! あなた方の科類選択の一助となれれば幸いです。
注釈
*2 あくまで原則です。例えば法学部や経済学部では一部理類生からの募集を行っているなど、例外も多いです。
*3 理転の場合は要求科目として進学選択時に取得しているべき選択科目の単位の規定があることがあります。理転したい場合は計画的な履修が求められます。